パフォーマンスの極致

新たなマイルストーンを打ち立てた 911 ニューモデル:排気量 3.8 リッターの ツインターボ・エンジンを搭載した新型 911 ターボ S は、先代モデルから  70PS もパワーアップした最高出力 650PS という圧倒的なパフォーマンスを放つ。俊敏かつ高効率で恐ろしくパワフル。もちろんポルシェならではの 美徳、実用性も抜群だ。

  

ポルシェ 911 ターボ S クーペ
燃料消費量 総合:12.3 〜 12.0リッター/100km
CO2 排出量 総合:278 〜 271g/km (2020年3月現在)

10 ピストン

パーフェクトボディ
ファッション業界では非の打ちどころのないモデルを “パーフェクト 10” と呼ぶそうだ。直径 420mm のセラミック・ローターに 10 ピストン・キャリパーを組み合わせたブレーキシステム(フロント)を備える新型 911 ターボは、自動車業界の “パーフェクト 10” を自称しても差し支えないだろう。美しいボディの中には強靭な推進力と強大な制動力が麗しくバランスしている。路面が濡れていても様々な運転支援システムが五感を研ぎ澄ましてドライビングを見守ってくれるから破綻はない。初めてターボ・モデルに採用された “ウェットモード” は、ホイールハウジングに搭載されたセンサーが水の音を検知してドライバーに μ の低下を的確に知らせる。 スイッチを押すかどうかはドライバーの裁量次第だ。高速からの減速時、フロント&リア・スポイラーがエアブレーキポジションに入ると、風の抵抗を利用して制動距離を短縮してくれる。そう、新型 911 ターボはパワフルなだけでなくインテリジェントなのだ。この美しきパーフェクト 10 が活躍するのはキャットウォークではなく、ストリートだが……。

800Nm
650PS 史上最強の 911

21が 20に出会う

異径タイヤの妙
最高出力 650PS(911 ターボ S クーペ, 燃料消費量 総合:12.3 〜 12.0リッター/100km, CO2 排出量 総合:278 〜 271g/km (2020年3月現在))、最大トルク 800Nm。新型ポルシェ 911 ターボ S が史上最強と言われる所以はここにある。史上最強モデルが求めるグリップを確保するため、トレッドはフロントが 42mm、リアが 10mm ワイドになり、リア・アクスルには 315/30ZR21 の 21 インチ・ホイールが、フロントに は 255/35ZR20 の 20 インチ・ホイールが組み合わされる。

オプション装備の PASM スポーツシャシーの制御は洗練を究め、あらゆる路面で盤石のグリップを発揮する。タイヤ温度制御システムも有効な新機能だ。青または緑に点灯することで、タイヤが最適温度に達しているかをドライバーに知らせる。アダプティブ・エアロダイナミクスにも改良の手が入り、スポイラー位置の自動調整機能も性能向上に合わせて最適化が図られた(直線においても高速走行時にはリア・アクスルにダウンフォースをかける)。果たして、唯一無二の一台が完成したわけである。

勇姿に相応しいスピード

2.7 秒

ターボが魅せる伝統の美徳
1980 年代に北米で掲げられたスローガンをご記憶だろうか。『一度乗れば、何故ロケット開発者のほとんどがドイツ人なのか納得できる』。 そして今、このスローガンをもう一度掲げるタイミングが到来したのかもしれない。新型 911 ターボの 0–100km/h 加速タイムは先代モデルよりも 0.2 秒短縮して 2.7 秒を記録。0–200km/h のタイムにいたっては 1 秒も短縮した 8.9 秒を達成しているのだ。

ロケット並みの加速タイムの実現には、パワーだけでなくオプション装備の軽量ガラスや超軽量リチウムフェライト(Li-Fe)バッテリー等による軽量化が貢献している。細かいディテールにいたるまで最適化されたパーツはそのアピアランスも美しい。フロントのワイド・エアインテーク、ツイン・デイタイムランニングライト、エアインテークを埋め込んだリア フェンダー、お馴染みのフラットなリア・ウイング。新型 911 ターボ S は、どの角度から見ても 911 ターボ以外の何物でもない。

Thorsten Elbrigmann
Thorsten Elbrigmann