アスファルトの芸術
ノルウェーの風景を彩るフィヨルドと雄大な山岳地帯を結ぶルートを新型ポルシェ・カイエンで走る旅。ノルウェーの大自然を満喫しよう。
ポルシェカイエンS
CO2 排出量(総合): 229 ~ 223g/km
燃料消費量 市街地: 13.0 ~ 12.4リッター/100km
高速道路:8.0~7.8リッター/100km
総合:9.8~9.5リッター/100km · 効率クラス:E~D (2017年9月現在)
ポルシェ カイエン
CO2 排出量(総合): 209 ~ 205g/km
燃料消費量 市街地:11.3~11.1リッター/100km
高速道路:8.0~7.9リッター/100km
総合:9.2~9.0リッター/100km · 効率クラス:G (2017年9月現在)
プレゼントに巻かれたリボンが風に舞うように、一本の細いワインディングロードが急な斜面に沿って上へ上へと延びていく。イスターダーレン渓谷からスティーグローラ山頂まで続く 通称 “トロー
ルの通り道” は、高低差 405m を誇るノルウェーきっての絶景ルートとして知られる。直接岩を削って道路が作られた区間もあり、スティグフォッセンの滝に架設された橋には天然石が用いられるなど、自然を活かしたエンジニアリングの傑作としても名高く、11 のヘアピンカーブにはそれぞれ建設を担当した現場監督に由来した名前が付けられている。
ポルシェ・カイエンは、次々と迫り来るヘアピン・カーブを物ともせず、弾むように快走していく。岩壁は絶妙なバランスで波状に積み重なっているが、決して崩れ落ちることはない。谷間から聞こえてくるのは巨大な滝の音。100km 先には、ユネスコの世界遺産に登録されている世界最大級のフィヨルド、ガイランゲルフィヨルドが待ち受けている。
トロールの道
広大な自然が織りなすスカンジナビア半島の光景は独特だ。巨大な岩々。無限に広がる森。雪に覆われた峰々。そしてその中を縫うように連なる道路……。野生の動植物が鼓動する大自然の中で、アスファルトの路面だけが静止しているように見える。
ガイランゲル方面へと伸びる “トロールの通り道” を越えたポルシェ一行は、オスロの北西 280km にあるオンダルスネスを目指す。1936 年にホーコン 7 世が開通させたこの黄金ルートは、カイエンをノルウェー北部に広がる原生林へと導いてくれる。
ノルウェーの南北を繋ぐ全長 1850km 以上に及ぶ 18 の主要道路は、壮大な自然と近代建築が融合した芸術作品であり、フィヨルドによって形成された全長 6000km の海岸線と山岳地帯を縫うように張り巡らされた道路は見事なまでに自然と融合している。
ガムレ・ストリーネフィエルスヴァイン
ヘアピンカーブと広大な自然
ムーレオグロムスダールに入り、さらに内陸部へと向かうカイエンは、約 130 年前に作られたというノルウェー最古のワインディング・ロード、ガムレ・ストリーネフィエルスヴァインを颯爽と駆け抜ける。道路と大地の境には、その昔、開拓民が埋設した境界石が残っている。眼下には海が広がり、見上げれば遠くに万年雪が望めるこのエリアは観光客に人気のスポットだ。気温は 15 度。きつい日差しにもかかわらず、頂の雪は融けずに残っている。山道をさらに奥へと分け入ると、目の前に美しい湖を抱く荒涼とした高原の風景が広がる。原生林と融合する道路は、岩塊から流れ出る一筋の滝のようにも見える。
自然への回帰とは、人間が本来のルーツへと戻っていくことなのだろうか。そう思わずにはいられない、精々とした景色がフロントスクリーン越しに拡がる。時折すれ違う寡黙な登山者と極めて対照的な息遣いに、“限界” と “極限” のコントラストが見え隠れする。
Lærdalstunnelen
世界最長の道路トンネルとして有名なラルダール・トンネルも、カイエンにとっては檜舞台となる。ソグン・オ・フィヨーラネ県に位置するアウルランドからラル ダールまで続く光の閉ざされた世界で、秘めた力量を解き放つ衝動にかられる。トンネルの側壁部に沿って轟きのように共鳴していくエグゾーストノート。カイエンは全長 24.51km のトンネルをまるで粒子加速器のように疾走していく。
世紀の建設
ラルダール・トンネルを抜けたカイエンは、大西洋岸を目指して北進を続ける。青銅器時代にすでに大型船を建設したノルウェー人は、自ら大自然の驚異に立ち向かっていく民族のようだ。1983 年から 1989 年にかけて建設された “アトランティック・ロード” は、クリスチャンスンからモルデに至る海岸沿いに作られた世界で最も美しい道路と評されるルートである。全長 8.2km。フィヨルドの大地を多くの橋で繋ぎ、道路の高低差はなんと 23m もある。荒れ狂う海を横目にジェットコースターよろしく一気に駆け抜けていくドライブはスリル満点だ。
自然からの挑戦を受け入れること。これこそがノルウェーの景勝道路のテーゼである。ここでは道路こそが芸術であり、目的地となる。