GT3

妥協を一切排除したスパルタン・モデル:日常利便性とレーシングパフォーマンスを高次元で融合した新型ポルシェ 911 GT3。その中核をなすのがジュネーブ・モーターショーで初公開された最高出力 500PS を誇る水平対向 6 気筒自然吸気エンジンだ。ポルシェのモータースポーツ部門が新たに開発した GT3 ユニットのレースバージョンはすでに 911 GT3R やカップ、911 RSR に搭載されている。

インテーク・システム
911 GT3R、911 カップ、そして 911 RSR にマウントされるレース・ユニットと同様、高回転を極めたポルシェ 911 GT3 用自然吸気エンジン。新たに開発されたこのパワーユニットには軽量プラスティック素材の可変インテーク・システムが採用され、2 基のレゾナンス・フラップを内蔵している(従来型は 1 基)。レゾナンス・フラップは走行時の負荷およびエンジン回転数に合わせて個別または同時に開閉し、これまで以上に分厚いトルクを稼ぎ出すだけでなく、燃費性能の向上にも一役買っている。

クランクケース
摩擦抵抗を極限まで低減して高水準の安定性を実現すべく、新型 4 リッター水平対向 6 気筒エンジンのシリンダーボアにはプラズマコーティングが施され、リン酸処理され重量の最適化が図られた鍛造ピストンが組み込まれる。

クランクドライブ
新たに開発された GT3 エンジンには高強度スティール合金鍛造クランクシャフトが採用された。コネクティングロッド・ベアリングがよりワイドになり、そこに結合されるチタン製クランクシャフトのメインベアリングも重量を最適化。抜群の安定性の源となる。多大な負荷がかかるコネクティングロッド・ベアリング用の中央オイルフィーダーはモータースポーツで実証済みのユニットで、伝統のポルシェ 917 にも採用されたハイレベルな技術。最大限の負荷がかかる高回転域においても適正な潤滑膜を維持する。ちなみにこの中央オイルフィーダーは摩擦抵抗を低減させるため、燃費の向上にも繋がっている。6.4 リットルのエンジン・オイルを循環させるドライサンプ・システムは、強烈な横 G に対する備えだが、水平対向 6 気筒自然吸気エンジンを低くセットするために不可欠な要件でもある。市販モデルでは初採用となるロータリーベーン・オイルリターンポンプもモータースポーツに由来する技術で、エミッションの低減と燃費向上にも貢献。エンジン・オイルを 7 カ所で吸い込み、内蔵セパレーターがオイルと空気を分離する。

シリンダーヘッド
新型 911 GT3 のエンジンには純レース用ユニットと同様のバルブ駆動システムが採用されている。カムとロッカーアームの間には油圧式バルブ・クリアランスの代わりにシムが装着され、必要に応じて調整不要のバルブ・クリアランスを確保。また表面圧力が低減されたことで耐久性の高いバルブ駆動を実現し、9000rpm という驚きの最高回転数を可能にしている。サーキットのように過酷な走行状況が求められる状況においてはまさに理想的なシステムと言えよう。ちなみにレース用 GT3 ユニットの最高回転数は 9500rpm に達し、ドライバーが求めるパフォーマンスに応じて可変バルブリフト・システム(バリオカム)が吸気および排気カムシャフトを最適制御。電子制御エンジンシステムがエンジンの回転数と負荷状態を細かく監視し、いかなる回転数においても高出力と高トルクをドライバーに約束する。

Frank Mühling
Frank Mühling